ドイツの高級時計ブランド「グラスヒュッテ・オリジナル」の代表作、パノマティックルナのグリーン文字盤(Ref. 1-90-02-13-32-62)を購入しました。
この時計を購入した理由は
- グリーン文字盤の時計を持っていなかった(自身のコレクションには白・シルバー・青・黒の文字盤の時計があります)
- ドイツ時計を持っておらず、憧れの時計(A.ランゲ&ゾーネのランゲ1ムーンフェイズ)と同じ出自である歴史に惹かれた
- ムーンフェイズ搭載でケース径40mmの小振り感
- ストラップの付け替えにより、一年を通して使える時計である
という4点です。
本記事で、購入品レビューとして細かく見ていきます。
グラスヒュッテ・オリジナル(Glashutte ORIGINAL)の時計ブランドとしての紹介
グラスヒュッテ・オリジナルというブランド自体の設立は1994年と比較的新しく、現在はスイスが本社のSwatchグループに属しながら、ドイツのグラスヒュッテという街で自社ムーブメント制作(マニュファクチュール)を貫き続けているという、ドイツ時計の代表格のブランドです。
ですが、そのルーツは非常に長く、1845年まで遡る必要があります。
ドイツ・ザクセン州のグラスヒュッテ市において政府の資金援助の元、現在のA.ランゲ&ゾーネの創設者でもあるアドルフ・ランゲらによる時計工房が産声を上げました。
しかし、二度の世界大戦によりグラスヒュッテ市は主戦場となり、ソ連軍の爆撃による壊滅的な被害を受け、工房もほとんどが廃業。
残った時計会社も1951年の戦後に東ドイツ政府により「グラスヒュッテ国営時計会社」に統合されました。
第二次世界大戦後、A.ランゲ&ゾーネと会社が統合されていた時期があった
この「グラスヒュッテ国営時計会社」にはA.ランゲ&ゾーネも一緒に統合されていたことに、「ランゲ1」と「パノマティックルナ」のどこか共通点のあるデザインは由来していると考えられています。
ドイツ時計の伝統の地である「グラスヒュッテ」の名を冠しながら “オリジナル” と銘打っているのは、当時統合された他のブランド(例:ノモス, チュチマ等)とは一線を画し、高品質な時計を提供していることへの信念を伝えているように感じます。
パノマティックルナ グリーンのデザイン・外装
室内光での撮影ですが、パノマティックルナのグリーンは濃い落ち着いた色合いで気に入っています。
よく見ていただけるとお分かりかと思いますが、文字盤のグリーンが縁にいくに従って黒のグラデーションになっており、より引き締まった印象を与えます。
光に直接当てずに見るとこんな感じ。めちゃめちゃ渋い…!
パノマティックルナ グリーンは革ベルト & シンセティックストラップが付属
パノマティックルナ グリーンはスエード調のこげ茶色の革ベルトが標準、加えてシンセティックストラップも付属します。
革ベルトは汗をかきにくい冬をメインに春・秋までしか付けられないため、夏はシンセティックベルトに変更する方が大半だと思います。
※ステンレススチールのベルトに変更する場合、156万→170万になることはご注意ください。
革ベルト⇔シンセティックの付け替えで着用シーンはオールシーズン!ドレス〜カジュアルまで
この時計、革ベルトの際にはかなりドレッシーな印象を与えるのに対し、シンセティックベルトに付け替えると一気にラグスポ感が出ることに驚きます。
例えば、白Tシャツ・ジーンズ・スニーカーに差し色のグリーンを入れたりなど、グッとおしゃれ上級者に近づけるコーディネートの手助けをしてくれそうです。
グラスヒュッテ・オリジナルは「SeaQ」というスポーツウォッチのラインもあり、”ラグスポ感” の見せ方が上手いのでは
同じ出自ではあるものの、ドレスウォッチが主流のA.ランゲ&ゾーネに対して、グラスヒュッテ・オリジナルはスポーツラインも存在します。
そのため、パノマティックルナについてもベルトの素材を革以外も用意することで、雰囲気を変えることに成功しているのだと思います。
(A.ランゲ&ゾーネもオデュッセウスで初めてのラグスポウォッチ(ステンレススチール(SS)製)を2019年に発表していますが)
ベルトの付け替えでガラッと雰囲気が変わるのが面白く、1年を通して様々なシーンで利用可能なため、使用頻度の高い時計となりそうです。
パノマティックルナのシースルーバック(裏スケ)はため息が出るくらい美しい…!
ドイツ時計の特徴として、テンプを綺麗に見せる傾向にあります。
パノマティックルナはシースルーバック(裏スケ)になっており、精密なテンプの機構(ダブルスワンネックレギュレーターシステム)と手彫りのエングレービングが息を呑む美しさです。
僕の持っている時計コレクションの中でも、最もムーブメントの機構が綺麗に見える時計だと思います。
パノマティックルナの機能性
アシンメトリーのレイアウト・ビッグデイト表示・ムーンフェイズの視認性が抜群!
時針・分針・秒針が分かれたデザインかつスモールセコンドのアシンメトリーなレイアウトになっていますが、大きさの比率が計算され尽くしているのか非常に見やすいです。
加えて、ムーンフェイズとビッグデイトが独立しており、月齢や日付は持っている時計の中で最も見やすいように思います。
各パーツの絶妙な大きさ配分は、黄金比を用いているのでしょうか。本能的に「美しい…!見やすい!」と文字盤を見るたびに感じます。
5気圧(50m)防水とロイヤルオークに匹敵する防水性能
スポーツウォッチを製造していることや、後述のように12.7mmという厚みもあり、防水性能は5気圧(50m)とラグジュアリースポーツウォッチと同等レベルの性能を有しています。
この時計を着けて水の中に入ることは無いと思いますので、日常生活においては全く気にする必要ありません。
多分迷う!パノマティックルナはどの色を選ぶべきか
一般社会の人から見て病的な本数の時計を持っている僕(8本)は、冠婚葬祭やスーツスタイルからカジュアルまで、一通りのシーンで使える時計を揃え終わっております。
パノマティックルナを購入するタイミングで所有していた時計の文字盤の色は、シルバー2, 白2, 青2, 黒1というラインナップで、文字盤の色で冒険したいなと思っていました。
グリーンの他にもサーモンピンクやターコイズを検討しましたが、キレイめなファッションの自分にはグリーンが合うだろう、と考えていた中でこの時計にブティックで遭遇。まさに一期一会でした。
そこからコロナ後のインフレで時計人気に火が付き、中でも生産数の少ないと言われているパノマティックルナのグリーンは入手困難に。
諦めかけていた矢先、縁あって1年越しでようやく購入の機会を得ました。
その際、たまたまホワイト・ブルー文字盤のものも試着することができ、納得してグリーンを購入しました。
利用シーン・持っている腕時計の色味から総合判断すべき
この記事をお読みくださっている方にお勧めしたいのが「ご自身の時計ラインナップに入ることを想像する」「可能な限り試着する」ことです。
高い買い物ですので、納得感が大事です。
僕はブルー文字盤もかなり気に入りました。
他に持っていなければ、そちらを購入していたと思います。
パノマティックルナを購入する前に知っておいた方が良い点
①厚みを感じさせない装着感だが、12.7mmと結構あるので試着はしてみたい
人によって好みが分かれる部分かと思いますが、パノマティックルナは機械式腕時計の中でもそこそこ厚めな12.7mmのケース高さがあります。
ですが、ケースとベルトを繋ぐ「ラグ」と呼ばれる部分が鋭角になっており、縦のケースサイズがかなり小さめに設計されています。
結果、腕周り15cmの細腕の僕が着けても違和感が無く、装着感は持っている時計の中でも良い方に部類されます。
②パワーリザーブが42時間と少し短め
機械式腕時計をお持ちの方は、自動巻きの持ち時間であるパワーリザーブが短いと、使いたい時に時計が止まってしまうのでは?と思う方もいらっしゃると思います。
個人的には40時間以上のパワーリザーブがあれば必要十分で、装着する日に止まってしまうこともありません。
機械式腕時計は、使う直前の時刻合わせとぜんまいの巻き上げを行うのが基本なためです。
初めての機械式時計で1本目に買う!という方も、毎日着用 or ワインディングマシーンに入れていれば巻き上げは不要ですし、止まってしまうがゆえの面白さ・相棒感というのを感じてほしいな、と個人的には思いますw
③ベルトの取り替えはブティック持ち込み必須
別記事で紹介した、サントス ドゥ カルティエのようなベルトを自由に付け替える機能は無いため、ブティックなどに持ち込んで付け替えてもらう必要があります。
正規ブティックでの購入であればベルトの付け替え代は無料と聞いていますが、並行輸入店で購入される場合はよく調べておくのが良いと思います。
グラスヒュッテ・オリジナル パノマティックルナの価格(正規店/並行輸入)・並行差別の有無・リセールバリュー
グラスヒュッテ・オリジナルはオンラインでの公式ショップは無いため、基本的に正規店(ブティックやデパート等)に行くか並行輸入品を購入するしかありません。
現時点ではプレミア価格とはなっておらず、並行輸入品であれば少し価格を抑えることができそうではあります。
(ストラップが2種類付くことや、ベルト交換無料などのアフターサービスを鑑みて、僕は正規ブティックで購入しました)
サイト | 価格(2024/4時点) |
正規店 (グラスヒュッテ・オリジナル公式サイト) |
1,562,000円 |
chrono24 | 125万円↑程度 |
グラスヒュッテ・オリジナルはスウォッチグループに属するため、並行差別無し
スウォッチグループに属するグラスヒュッテ・オリジナルは、並行輸入品へのアフターサービスの割り増し料金(=並行差別)はありません。
時計価格の高騰と需要の急増により、容易には正規品が手に入らなくなってきている昨今。
円安影響による値上げの頻度も上がっていることもあり、正規品を数年待つのではなく並行輸入品を多少割高でも買う方も増えており、ありがたいことです。
色によっては新品在庫が少ないので注意(SSモデルのグリーンは半年に数本レベルとのこと)
2024年4月時点で、グリーンはほぼ在庫が入ってこない状況(生産数も少ない)とブティックの方から聞いています。
ホワイトやブルー、ブラックといった定番の色も、ステンレススチール(SS)製は人気が高いため、希望の色が無いこともありそうです。
リセールバリューはブルー文字盤で60%弱
リセールバリューの定義を『買取価格 ÷ 新品価格』とし、ネットで確認したところブルー文字盤の場合で未使用品95.1万円(S品で85万)での買取金額がありました(カドノ質店さんの2024年4月時点情報です & グリーンについては見当たらず分かりませんでした)。
グラスヒュッテ・オリジナルを購入する方はリセールバリューを気にしていないケースがほとんどかな、とは思いますが、そこまで値崩れする商品ということでは無かったので調べてみて安心しました。
(僕はパノマティックルナを一生売らないつもりです)
グラスヒュッテ・オリジナル パノマティックルナの時計(正規品)購入をお得にする支払い方法
グラスヒュッテ・オリジナルの時計(正規品)を購入するなら「百貨店クレジットカード」一択!
グラスヒュッテ・オリジナルについては、百貨店クレジットカードのポイント付与対象ブランドです(2024年4月時点)。
百貨店クレジットカードは年会費が発生(1,000円〜10,000円程度)しますが、ポイント還元率がカードのグレードによって5〜10%あり、時計のような高額商品がポイント付与対象であれば1発でペイします。
そのため、エルメスやシャネル、カルティエなど一部ブランドは百貨店クレジットカードによるポイント付与の対象外に設定されているのですが、グラスヒュッテ・オリジナルはされていません。
僕は、グラスヒュッテ・オリジナルを購入するのであれば百貨店クレジットカードを利用して百貨店で購入するのを強く強く推します。
グラスヒュッテ・オリジナルの百貨店取扱状況(2024年4月時点)は以下です。
都道府県 | 店舗名 | 利用クレジットカード |
東京 | 大丸 東京 | 大丸松坂屋カード |
東京 | 新宿 伊勢丹 | エムアイカード |
東京 | 松屋 銀座 | 松屋DCカード |
京都 | 京都 高島屋 | 高島屋カード |
愛知 | 松坂屋 名古屋 | 大丸松坂屋カード |
愛知 | JR名古屋 高島屋 | 高島屋カード |
福岡 | 博多 大丸 | 大丸松坂屋カード |
兵庫 | 大丸 神戸 | 大丸松坂屋カード |
もしお住まいの地域にグラスヒュッテ・オリジナル取扱店舗があれば、ぜひ事前にカードを作っておくことをお勧めします。
ネット経由だと頻繁にキャンペーンをやっていることもあるので、お得になります。
結論:グラスヒュッテ・オリジナル パノシリーズは時計通ならぜひ欲しい逸品
ドイツ時計のデザインが好きで、ムーンフェイズも好き、という方はパノマティックルナがどハマり間違い無し。
ムーンフェイズはドレッシーに見えるからちょっと…という方には、パノリザーブシリーズを。
ムーブメントを見せたい方には、パノインバースシリーズがあります。
ベルトチェンジでラグスポ感を出すこともできつつ、本来のドレッシーな装いに花を添えられる時計です。
ブランドとしての主張が強すぎない、今流行りの『クワイエットラグジュアリー』を体現している時計かな、とも思います。
ぜひ一度、ブティックで実物を見に行かれることをお勧めします。
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